前章でアダマール行列(4×4)の定義について述べさせていただいた。

 

 

ここで、だれもが当然、発したくなる問い。
はたして、このような条件を満たすアダマール行列(4×4)が、格子体(4×4)の世界にどれくらい存在するのか?

 

すでにわたしたちが手にしているものとしてはこの手裏剣
実際、自身の転置行列との行列をとると、条件を満たしていることがわかる。

 

 

さて。すべてのアダマール行列が、このような心の琴線にふれてくる対称性を宿しているのかといえば、けっしてはそうではない。

 

 

どうだろう。
アダマール行列(4×4)768

さよう。アダマール行列(4×4)の中には、お世辞にも美しいと言えないものも存在している。いや、美醜というのはわたしたちの主観にすぎない。いや、あるいはそこに素直に美を見出せないのは、これらの形式の背後にある何か重要な事実を見逃しているのかもしれない。