準–正負反転体の所有している0消失力は、けっして正負反転体の有しているそれに負けてはいない。すでにわたしたちはそう思いはじめてさえいる。が、はたして、その消失パワーの源がどこにあるのか。
いまのところ、その問いに対する回答は得られていないが、諸君らには、一つ重要なことを述べておかねばなるまいだろう。さよう。準–正負反転体の90度回転体のことを、である。
準–正負反転体①②③④型を時計回りに90度回転させることによって得られる格子体たち。
ちなみに準–正負反転体①②③④型の回転体ファミリーには他にも180度回転体、270度回転体たちが想定されうるが、本質的にはそれらは0度回転体、90度回転体と同型であり同一視できる。それゆえ、考察の対象としては、これら0度回転体、90度回転体に代表させればよいということになる。
いうまでもなく、準–正負反転体①②③④型内で成立しうる現象、法則(５連５乗の法等)は、90度回転体①②③④型においてもそのまま成り立ちうる。なぜというに―これはあくまで雑駁な説明ではあるが―ある代数的光景があったとして、そのシーンを諸君らが首を90度傾けて(寝そべって)眺めたとしても、その行為が代数的事実に影響を与えようがないからである。
なので、この章で取り上げらることは同一グループ内で起こりうる内輪の話ではない。異なる二つのグループ間で何が起きているのか、ということである。
よくわからない？
言葉で説明するより、見てもらうのが百倍速い。
さよう。0度回転体と90度回転体が相互に打ち消しあって0の世界に消え去る。その際にペアをどのように組むのかというと、
このペアリングはなかなかに興味深い。
というのも、それぞれのグループは鏡映体という観点から以下のように分類することができるのであるが、
消失するために選ぶペアは、意外にも自らの回転体の系でないものなのである。
さらに注意すべきことがもう一つ。
0消失するためには、積の順序が重要であるということ。
動画では0度回転体が行列積の先頭に置かれていたが、これを逆順にすると、
そうなのだ。もはや、この場合、消失は確約された話ではない。が、ここで生成されている格子体はあなどれない形をしている。というのも、
わかるだろうか？
ここまで見てきたことを表現しなおせば、
いや、あるいは、わたしたちはこのように解釈すべきなのかもしれない。
二つのグループが一度、解体され、そこから新らしい二つのグループに再構成される。ややこしくも、神秘な光景である。
最後にこれら0度–90度回転体ペアたちが秘めている強力な力をご紹介してこの章をしめくくりたい。
