さて、前章からひきつづき、準–正負反転体とその90度回転体とのペアリングにとりくむことにしよう。未知のペアは残り8通り。

では。
この四つをいっきに片付ける。

はてして、これらのペアも〝アダマール行列〟を産みだすことができるのか。
わたしたちの焦点はまさにそこである。
またも素晴らしき贈り物をゲットできた。
あとこの四つのペアを残すばかり。

ここまでくれば期待することは一つ。
諸君らも思いを一つにし結果を見守ってもらいたい。
どうだ。
これで、とどめをさされた。
なんと16種類のすべてのペアにおいて、アダマール積結合によるアダマール行列生成力を発揮。たとえ偶然だとしても、偶然のレベルをはるかにこえた偶然といわざるをえない。どう解釈すべきか?
不明でしかない。なぜかはわからぬが、そうなのだ。
それが彼ら彼女らのやり方なのだ。
いや、彼ら彼女らのペアがくりひろげる美しい関係性は、さらに奇怪である。
さよう。ペアたちが構成する四つのグループ。

これは、なにか?
なにゆえのグループ化なのか?
諸君らに得心していただけるよう、丁寧に説明をしたい。
一つ目のこのグループから見てゆこう。

まず、知っておいてもらいたいこととして。
この四種のアダマール行列において、自身の転置行列との積(アダマール積)をとると、

どうだろう。
そこにあらわれる柄は、

この二種類に集約される。
この点は、ぜひとも記憶にとどめておいていただきたい。
次に、四種のアダマール行列の四連アダマール積は、

美事。一色に染まった。
この結果も、わたしたちにきわめて鮮烈な印象を残す。
さて、ではこれらの事実を知った上で、今度は四連アダマール積→四連行列積に変換して何が起こるか見てみようと思う。
0消失。
表現を変えれば、四連行列積において、順方向積と逆方向積の間で次のような関係が成り立っているということ。

向きを逆にすることで正負対称性があらわれるという美しくも謎に満ちた現象。
四つ組のシンプルであるが、強固な関係性。理解していただけただろうか?
さてと。
驚くべきことは、上述した現象の数々がことごとく他のグループにも起こりうるということである。二つ目のグループを見てみよう。

確認事項その1。
四種のアダマール行列における自身と転置行列とのアダマール積。

見てのとおり。
いずれもマリス/タリス型か無地。
確認事項その2。
つづいては、四種のアダマール行列における四連アダマール積。

一色に染め上げられる格子……。
これも以前に見た通りである。
そして確認事項その3。
四種のアダマール行列における四連行列積はどうか?
どうだろう。
ここでも、やはり順方向積と逆方向積とが相殺されて0消失。
あまりにうまく出来ていやしまいか?
ただ、そういうものなのか。
まだ半信半疑の者もいるだろう。
同様にして三つ目のグループについても確認しておきたい。

●四種のアダマール行列における自身と転置行列とのアダマール積

●四種のアダマール行列における四連アダマール積

●四種のアダマール行列における四連行列積:順方向積と逆方向積
最後の四つ目のグループ。

●四種のアダマール行列における自身と転置行列とのアダマール積

ここで、ふりかっておくと、結局、四つのグループにおいて四種のアダマール行列における自身と転置行列とのアダマール積には、いずれもマリス/タリス型が2種、無地柄が2種あらわれることがたしかめらることになる。大変、興味深いことにこの四つの生成格子体の四連アダマール積をとると、

当たり前だが美しい。
それでいいではないか。
●四種のアダマール行列における四連アダマール積

●四種のアダマール行列における四連行列積:順方向積と逆方向積
ついてきてくれていることを期待している。ここまで、16種類のアダマール行列のグループ四分割化の妥当性をざっと概観してきたが、この章をここでしめくくるわけにはいかない。
さよう。
このような絶妙なグループ四分割法は、ただ一通り、というわけではないらしいのである。
どういうことか?
これを見てほしい。


この分割法は、一目見ておわかりのように、格子体の柄に着目している。
だからどうした、とお思いか?
ならば、各グループごとに四連アダマール積をとってみることにしよう。

いずれにおいてもオールワン格子体。
思わず、うなりたくなる光景である。
そればかりではない。
この四連においてアダマール積を行列積にとって換えると、




何が起きているのか。
どうか、じっくりと見てほしい。
ここでは順方向積と逆方向積の正負はそろっている。
先の分割法と比べても、ひけをとることはまったくない。
どちらの分割法をと採るべきか?
あとは諸君らの好みの問題だ。

